本棚にねこまんま

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ねこ と ごはん

【つまみぐい弁当】おもわず手がでる「んま~いっ」お弁当

おすすめ度★★★★★

優しく匂いたつような絵と、漫画ならではの音の表現。
温かみのある鮮やかな水彩で描かれた世界は
夕暮れどきの帰り道、どこからともなく漂う晩ごはんの匂いのように
じんわりと心に沁みわたります。
写真ではなく絵だからこそできる”美味しい”表現が
ぎゅっと凝縮されたコミックエッセイです。

お弁当には家の空気がつまっている

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(出典 つまみぐい弁当)


子供の頃から絵や本が好きでひきこもりな性分だったので、
外と自分をへだててくれる「家」は自分を守ってくれる
絶対なもの、という感覚がずっとあります。
お弁当はただ食料の入った箱なのですが、
なぜだか家の空気までも一緒につめて
運ぶことができる不思議な箱で、
ふたをぱかっとあけると
その家の守護感を少し感じることができました。
(思春期のお弁当がはずかしかったのは、こういうのへの
抵抗だったんでしょうね)
(引用 イシヤマアズサ「つまみぐい弁当」あとがきより)

豊かな感受性により何気ない日常が丁寧に描かれ、
作者の素朴な人柄が随所に織り込まれています。

特に印象深いのがエビフライを揚げるときの
「ひっくり返すとハネて威嚇してくるし きつね色の小動物みたい」
という言葉。
エビフライにそんな感情抱いたことなかった…!と衝撃を受けました。
作者の目で見る世界はエビフライですら可愛いんだなぁ、と。


誰の胸にもあるノスタルジー

作者の思い出の味がたくさんのエピソードとして収録されています。

担任の先生がこっそり粉チーズをかけてくれるスパゲティ
つゆがシャーベット状のしゃりしゃり冷やしうどん
おばあちゃんちのにゅうめん入りおみそ汁

まったく同じ経験はしていなくても胸がぎゅっとなるほど懐かしいのは、
私の家ではこうだったなぁ~、と自然に思い出してしまうからでしょう。

誰にでもある思い出の味を、呼びさましてくれるそんな優しい作品です。




続きものではありませんが、発行された順番としてはこちらが先ですね。


タイトル通り真夜中に読むと全力で後悔します。
魅惑のコロッケパン、なすピザ、梅ゼリー…ああ、食べたい…