本棚にねこまんま

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ねこ と ごはん

【終わりのち、アサナギ暮らし。】かぶのみぞれ汁

かぶのみぞれ汁

ドがつくほどの山の中にある実家で暮らしていた頃、私の部屋の窓辺にはよくオニグモが巣を作っていました。
深みのあるチョコレートのような色合いと、丸っこいからだ。棒でつつくとキュッと手足を縮める姿がなんだか可愛くて、私は彼らが好きでした。
それは大人になって虫が苦手になった今になっても変わらず、家の中でクモを見つけても私には彼らが殺せません。
猫がクモで遊ぼうとするので、旦那はぎょっとしますが手に乗せて外に逃がしてやることもあるくらいです。
私にとってクモは友になりうる存在なのです。

「終わりのち、アサナギ暮らし」は大きなクモと少女の異種間交流を描く物語です。
(実際にはクモではなく新種の生き物らしいですが、ひとまず巨大グモということで。)
放浪癖のある父の帰りを待ち、山奥で一人で暮らす少女ナギ。
ある日、ナギは森で大きなクモと出会います。
アサと名付けたそのクモは恐ろしい見た目とは裏腹に人間を襲うことはなく、肉や野菜でさえ与えても食べようとはしませんでした。
そんなアサの食欲センサーに引っかかったのはナギの手料理。
ひとりぼっちの孤独な少女と人ならざる一匹は、一緒にごはんを食べることで種族の壁を越えて絆を深めてゆきます。
今回はナギが迷い込んだ行商人の男に出した、かぶのみぞれ汁をつくってみました。

かぶのみぞれ汁
(出典 終わりのち、アサナギ暮らし。/森野きこり)

かぶは2個すりおろし、1個はくし切り、葉っぱは1cmのざく切りに。
鍋にかつおと昆布でとっただし汁と、酒、しょうゆ、みりん、塩を入れて味をみます。
くし切りにしたかぶを入れ、柔らかくなるまで煮ていきます。

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すりおろしたかぶと、葉っぱを加え、ひと煮たちしたら水溶き片栗粉でとろみをつけて完成。

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かぶは体を温める冬の根菜です。
お好みでおろし生姜を添えることで、体の芯からぽかぽかと温まります。

かぶのみぞれ汁

噛むとほどけるような柔らかなかぶの食感、すりおろしたかぶの舌ざわりと、しゃくしゃくの葉。
一つ椀の中でかぶが様々な顔を覗かせる面白みのある一杯です。
出汁のきいた優しい味には、冷えきった体もほっとさせられます。

 


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(出典 終わりのち、アサナギ暮らし。/森野きこり)

「ある日 突然 終わっちゃったんだって」とナギは言いました。
水に沈んだ街、終わってしまった世界。
味噌や高野豆腐など日本独自の食材が出てくるので、舞台は未来の日本なのでしょうか。
近未来の物語は文明が発達した世界だけではないんだなぁと、環境破壊による地球の未来にはっとさせられます。
世界に何が起きたのか、生き残った人々がどのように生きているのか、アサは何者なのか、多くの謎が隠されており、これからの展開が楽しみなところです。
これだけ環境が変わると、アサは突然変異のクモなのかも知れませんね。
もしかすると元は人間?まさかお父さん?なんて邪推もしてしまいます。
アサはクモが苦手な人には「ぎょえええ」な存在かも知れませんが、私としてはネコバスぐらい憧れる”ふわふわさん”です。
お尻の毛が特にふわっふわらしいですよ。


◆「終わりのち、アサナギ暮らし。」はpixivコミックから読むことができます。