本棚にねこまんま

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ねこ と ごはん

【Artiste】ネガティブ料理人の成長を描くアルティストが面白い


パリのレストランで働く青年・ジルベール。
彼は仕事のトラブルで、料理人から雑用係に降格されてしまう。
日々、汚れた皿を洗うだけの彼だったが、気ままな新人皿洗い・マルコとの出会いによって、その世界は変わり始める。
腕は一流、心は三流。気弱な料理人成長期。
(裏表紙/内容紹介より引用)

公式サイトで2話まで無料で読めます(・ω・)
www.comicbunch.com


この作品を初めて読んだのは某漫画アプリの投稿枠でした。
その時の衝撃といったら。
だって連載陣より断然面白いんだもん。
その後、@バンチでの連載が決まり「早く単行本出ないかなぁ~」と首を長くして待っていた1巻がついに発売されました。
やっぱりすんごい面白かったので余韻に浸りながら感想書きます。
一応ネタバレなしのつもりです。

登場人物

f:id:hondananinekomanma:20170408152345j
ジルベール
マルコの指導係。
料理の腕はたつが、あるミスをして以来ずっと皿洗い担当。
陰気でいつもおどおどしているため、店ではいびられがち。
道を歩けば財布をすられ、物乞いに絡まれる不運の化身。


f:id:hondananinekomanma:20170408152346j
マルコ
新人バイト。フリーター。
飄々とし、マイペースで相手が年上でも上司でも物怖じしない。
不躾なようで物事の本質を見抜く力に長けており、周囲をはっとさせるような一言を放つ。


f:id:hondananinekomanma:20170408152344j
カルマン
ジルベールの働くレストランの料理長。
気性は激しく厳しいが、毎年店のオープン記念日には従業員にワインを振る舞うなど労わり深い一面も。


f:id:hondananinekomanma:20170408152347j
モーリス
カルマンの息子で副料理長。
幼い頃から厨房に出入りしており、店で一番の古株。
雑用係に降格されたジルベールを気にかけている。

ネガティブ青年とポジティブ青年が出会うとき物語は動き出す

本作の主人公ジルベールは厨房の隅で黙々と皿洗いをする陰気な青年。
雑用係として雇われた新人バイトのマルコとの出会いが彼の人生を大きく変えてゆきます。
万年皿洗いでもその性格ゆえに仕事を辞められず、ネガティブなジルベール。
バイトを転々として自由気ままに生きているポジティブなマルコ。
真逆な性格の2人のやり取りがとにかく面白い!

f:id:hondananinekomanma:20170408152343j
(出典 Artiste/さもえど太郎)

マルコはジルベールにだけでなく誰にでもゆる~い対応です。
臆せず、気負わず、脱力系。
自分と人種が違いすぎて、某青いラッコの如く汗吹き出してるジルベール。
そのうち海になりそう。
ジルベール海。

f:id:hondananinekomanma:20170408152341j
(出典 Artiste/さもえど太郎)

相反する2人が、お互いの持ってないものに憧れるのも胸アツな展開ですね。
このジルベールのマルコに対するイメージは酷いけど。
第3話ではいつも淡々としているマルコの本心が垣間見えて感動的でした。

全ての「創る人」に捧ぐ、成長物語

入居するには「一芸」を披露することが条件の芸術家アパートの管理人カトリーヌ。
「僕は料理人で、絵も描けないし楽器もひけない」というジルベールに彼女は「芸術はそんなに狭いもんなの?」と言い放ちます。
ジルベールの携わる料理もまた立派な芸術の一つなのです。

f:id:hondananinekomanma:20170408152342j
(出典 Artiste/さもえど太郎)

カルマンシェフは言います。
「自ら創らない人間の言葉には質量がない」と。

人は人のやることに文句をつけたがるもので、匿名性の高いネットの世界ではそれが顕著に表れます。
貶めるような心無い言葉を投げかけられる人もいるでしょう。
こうしてブログで感想を書き連ねているのもそうですが、批評するだけなら誰にでもできます。
いちいち真っ向から受け止めていたら体がもちません。
批判すら受け流す勇気と、表現し続ける忍耐強い心、良いものを追及する執念深さ。
プロ・アマ問わず、何かをつくる・表現する全ての人の背中を押してくれる、そんな力強い作品です。
陰気なジルベールが光の差す部屋で友人たちを想うラストは圧巻で、彼自身の心情の変化と、新たな物語の始まりを感じさせる1巻でした。

猫のクロックムッシュが可愛いすぎるので、猫好きさんも是非。

Twitter上での作者さんのジルベールいじりも容赦なくて面白いです(´・ω・`)